新作『稲歩町ダイナマイトボム!!』とゲームエンジンについて

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2022年3月17日にカクツク製完全新作の対戦格闘ゲーム『稲歩町ダイナマイトボム!!』が発表されました。
メーカー:南東ライトグリーン8・exA-Arcadia TEAM EXA-AM2

(実は海外のショーで発表が先行していたので、当サイトの「最新Ver.と遅延速度」のページには以前から記載済みです。他にも同様の国内未発表タイトルを掲載済みなので、興味のある方は是非チェックしてみてください)
もともとWindows環境用に頒布されていた作品をベースに、大幅に強化された新作となっています。


公式トレーラー

以下、筆者の補足情報

本作品のゲームエンジンは、角川系列のエンターブレインが2001年に発売した「2D格闘ツクール2nd.」をベースとしています。(現 Gotcha Gotcha Games 扱い)
「ツクールで作られたゲームがアーケード化?」と訝しがる方もいるかも知れません。
しかし、「2D格闘ツクール2nd.」は格闘ゲーム制作ツールとしては、やる気と技術さえあれば市販品レベルの格闘ゲームを作ることができるツールとして、当時からよく知られています。
2009年に個人製作として公開された「ヴァンガードプリンセス」などをご存じの方は納得できるはず。(公式サイト/動画

さて、そんな「格ツク2nd.」ですが、exA-Arcadiaはかなり初期の段階から、KADOKAWAとのライセンス締結を発表しています。
これにより同ツールを使用した作品のアーケード化に道が開かれており、現在発表されているexA用タイトルでは「アクセルシティ2」も同様の出自となっています。

exA-Arcadia公式サイト(English)でのライセンスツール類の解説

しかし製作側から見た「格ツク2nd.」は、2001年発売、WindowsXP用という古さから、近年のOSに非対応、VGA解像度までの対応、フルスクリーンに制限、数々の不具合、有志による機能強化など、一筋縄では行かない面もあったりします。
exA-Arcadia及び開発元では、これらの仕様を改善させ、本作でも4K表示対応を含めた各画面モードの対応や乱入機能の追加、ゲーム実行環境の64ビット化など、アーケード向けとして仕様の強化を行っているそうです。

3/20補足 4K表示などはexA-Arcadia側の必要表示レギュレーションで、4Kモニタ+4Kネイティブ表示設定時に、遅延せず快適にゲームができることを意味します。格ツク製作ツールや、その上で動作するゲームのフィールドが4Kなどの高解像度に拡張されるものではありません。
残念ながら現時点では「格ツク3rd.」と言えるような多機能化された後継ツールが存在するわけではないとのことです。※
2023年4月補足 exA-Arcadia開発側では、フィールド解像度をVGA以上などに対応した開発ツールにより、高解像度化を実装可能にしたとのことです。ツールの単体提供予定などはないものの、今後格ツク2nd.を使用する開発者が exA-Arcadiaプラットフォームに参入することで、これまで「格ツク2nd.」では作成できなかった高解像度フィールドのゲーム作成にも道が拓けるようです。

【以下、追加補足情報】
本作のゲームエンジンでは、現在応答遅延は2フレームで動作中。
開発側としては、さらなる低遅延化を目指して開発進行中とのことです。
※2024年5月追記
その後、exA-Arcadia内製の「Too Coolエンジン」(トゥクールエンジン)により、「格ツク2nd.」ベースの作品は応答遅延0.3フレームでの動作が実現しました。